買書日記

買った本の備忘録。読書日記ではありません。買っただけです。

昨日届いていた本。

 

矢崎泰久『変節の人 かつての同志が告発する青島幸男の正体』(飛鳥新社 1997年)

 

1980年参議院選挙と邱永漢、についての調査からどんどんずれていってたどり着いた本。ウェブ検索していて見つけた。

1980年の参議院選挙全国区に立候補・当選した「タレント候補」の一人・中山千夏の公設秘書であった矢崎泰久が書いた青島幸男バッシング本。

矢崎が青島幸男をバッシングしているのは、1983年の参議院選挙の際、中山と青島、それに美濃部亮吉、八代栄太といった当時無所属の参議院議員だったメンバーが作った新会派内で内紛があったから。

 このときに無所属議員たちが新会派を作ったのは、1983年から参議院で全国区が廃止され、比例代表制が導入されたためだった。全国区は、その名の通り、全国を一つの選挙区として議員が選出される仕組みで、日本中から票を集めなければならないので、組織力、資金力、知名度がなければ当選は難しかった。逆にいうと、タレント議員が当選しやすかった。全国区は「カネがかかりすぎる」とずっと批判されていて、それが1983年になくなっていたのである。そうすると、政党に属して比例名簿に載らないと、そもそも立候補すらできなくなる(中選挙区からの立候補・当選が難しかったのでしょう)全国区出身タレント議員が、当選のために手を組んだのであった。

 

が、ここでこの比例名簿の順位を巡って内紛がおきたのである。詳細はよそにいくらでも書いてあるので省くとして、矢崎がこの本で激ギレしているのは、中山千夏が矢崎をこのときの比例名簿で1位にしようと推したのに対し、青島他が反対して、主たるタレント議員がこの新会派から離脱してしまい、さらに矢崎と中山の間に性的関係があるというニュースまで流れてスキャンダル扱いになったために、強行出馬した矢崎が落選した、というところにあるようだ。自分が落ちたのも新党構想がパーになったのも、ほぼ全て青島のスタンドプレーと陰謀のせいである、という書き方。

 

これが本当か恨み節なのかは知らない。が、矢崎は邱永漢本人とももめている。矢崎は雑誌編集者でもあって、当時『話の特集』という雑誌を出していた。その雑誌が一時経営難になった際、邱永漢が出資して救った時期があった。このあと邱永漢と矢崎が経営権を巡って争ったようである。邱永漢も矢崎もそれぞれ当時のことを書いているが、どっちが正しいのかもわからない。今、手元に資料もないので詳細に書けない。

 

矢崎は1980年の選挙当時のタレント議員について書いているが、邱永漢の立候補については全く触れていない。邱永漢も、中山千夏青島幸男といった、同時に立候補したタレント候補について全く書かない。でも知らなかったはずはないので、その辺無視するのは何でかな、と思わなくもない。まあ、邱永漢自民党推薦、他のタレント候補は革新系無所属なので、立場的に考慮する相手じゃなかったのかもしれない。